1)携帯電話端末(Handset)市場
今日(アメリカ時間の10/30)のWall Street Journalにちょうど携帯電話端末市場に関する記事が出ていた。簡単にまとめると、
■商品ライフサイクルは短くなり、新機種の価格がすぐに下落する。「市場に最も最初に」「消費者が欲しがるものを」投入したメーカーが1人勝ちする
■競争はグローバルである
Samsung, LGは、この二つの条件をうまく味方に付けた。現在、携帯電話端末が最初に市場に投入される市場はアジア、韓国と日本である。韓国・日本で、カラー液晶の折り畳み式携帯電話が人気を集めていた頃、NokiaとMotorolaがカラー液晶を搭載することでコストが20%上がることに二の足を踏んでいた。その間にSamsungがヨーロッパとアメリカの市場をかっさらい、この二社が慌ててカラー液晶搭載機種を投入する頃には既に市場は飽和し、端末価格は下落し、思うような利益をあげることができなかった。これと同じことは、カメラ付き端末でも起こった。カメラ付きの場合は、日本のメーカーがグローバルでも市場を牽引した。(但し、カメラ付き端末が市場に占める割合が14%なので、図の通り、日本のメーカーはグローバルの市場では上位6社にも入っていない)
以下は、WSJから引用した記事や昨日書いた内容に基づく私なりの予測。
要約:
新しいコンセプトを実現するハイエンド系メーカーと、それにすばやくキャッチアップして低価格な商品を大量に生産するローエンド系に二極化
韓国と日本は、どちらも世界で最も先進的な端末が投入されている市場である。では、なぜこれほど両国のメーカーの国際競争力に差が出たか?日本の携帯端末は、日本独自の仕様に基づき、更に、個々の機種が高度にカスタマイズされた部品で構成されているからである。グローバルへの進出を考えた際、オープンアーキテクチャを採用している欧米・韓国勢に比べて、部材の調達の点で不利である。コモディティ化の進んだ組立系製造業の覇者・Dellが、いかに標準的な部材を使うことに腐心しているかを考えれば、これがいかにグローバルなサプライチェーン競争においてクリティカルな弱みになりうるかは容易に想像が付こう。ちなみに、同じような機能の携帯電話で比較した場合、韓国製品の方が日本製品より価格も安い。
世界でいちばん新しい携帯電話に敏感な消費者、オープンアーキテクチャ化の進んだ設計、そして競合に比べて低価格、これらの条件を満たす韓国メーカーの快進撃はしばらくは続くだろう。
将来的には、新しい製品を市場に投入しても競争優位を築ける期間はどんどん短くなるため、イノベーティブで高付加価値型製品を作るメーカと、コモディティ化した製品を安く・早く作る低価格路線のメーカとの二極化が進み、中途半端な会社は淘汰されるのでは。
2)通信事業者
要約:
顧客獲得・維持コストの増加と技術革新によって大幅な増収増益は期待できない
家計における通信費の割合は、若干ではあるが年々上がっている(出典:
情報通信白書)とはいえ、
消費者が携帯電話に払う金額には一定の上限があるのではないか、というのが私見である。新しい端末を投入したからといって、それに見合うだけのARPUの伸びが見られるか、どこまで通信費があがるのか、投資対効果がどう変化して行くかには今後も注目したい。
それから、夫の指摘通り、「番号ポータビリティ」の導入で、顧客奪い合い→価格の低下→体力のない事業者から市場を撤退 という可能性も大いにあるだろう。
更には、新技術の導入によって、NWコストが急激に安くなるという可能性もある。「光ファイバーにおけるWDM」と同じものがWireless市場に現れないという保障はどこにもない。最近は、"3G"という技術がそれに当たる、とも言われているらしく(私は無線技術は詳しくないので実態は理解していないが、これが当たっているとして話を進める)その影響で、2004年以降は徐々にグローバルの売上は低下して行くという予測がある。
3G導入による売上の低下は、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、リーマンブラザーズ、そしてGartnerが予測している、という記事が同じく今日のWall Street Journalに出ていた。
3)その他
私は今、Wireless Industryの企業では、Qualcommに注目している。
携帯電話端末もかつては開発していたが4年前に撤退し、現在は携帯電話用のチップの開発しかやっていないというQualcommで、最もProfitableな事業は、CDMA関連技術のライセンス収入である。
新しい多機能な端末をどんどん市場に投入して消費者の需要を喚起し、たくさん通話・データ通信をしてもらうことがメーカ・通信事業者にとっては重要なので、端末やコンテンツ、アプリケーションには多様性が求められる。しかし、インフラ・通信技術のレイヤは標準化され、そんなに頻繁に変えない方がコストの削減になる(もちろん、イノベーションによって圧倒的なコスト削減・品質の向上などが見込める場合は、インフラも書き換わるだろう)なので、この市場は「勝者が全てを手に入れる」可能性が高いのではないか。
…というのが、この産業に対する私なりの今の時点での予測。コンテンツプロバイダ等についてはまた後日気が向けば分析したい。自分の予測が、どの程度読みとして的確なポイントをついているか、どれくらい当たるか楽しみにしつつも、随時勉強して検証して行こうと思っている。
差し当たって気になるのは、テレビ付き携帯は売れるのか?だったりする。皆さんは、テレビ付き携帯、欲しいと思いますか?私は、少なくとも今の通信料金じゃあテレビなんて観る気も起きないのですが。
※下のグラフのデータ出典は、10/30のWSJ
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